ロコモティブシンドロームと食事の関係
2017/09/08
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「ロコモティブシンドローム」という言葉を最近よく耳にするようになったという人は少なくないはずです。しかしこの難しい言葉の意味について知らない人もおられることでしょう。
ロコモティブシンドロームの和名は「運動器症候群」で、運動機能に関係する体の器官に障害が生じることで移動機能が低下した状態のことをいいます。進行すると介護が必要になるリスクが高く、そのため日本整形外科学会が予防を啓発しています。
ロコモティブシンドロームは筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった器官に障害が発生し、立ち上がることや歩くことが困難になることから始まります。中には運動器のいくつかに同時に障害が発生することもあり、このようなケースでは移動機能の低下が早まることもあります。できるだけ長く自分の足で歩き続けるためには、普段から運動器を長持ちさせることを考えて生活する必要があります。
この点でポイントとなるのが食事です。では運動器を長持ちさせ、ロコモティブシンドロームを予防するためにはどのような食生活を送る必要があるのかについて見ていくことにしましょう。
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肥満とダイエットに注意
まず一番気をつけなければならないことは、肥満体になることです。体が大きくなれば当然のことながら膝や腰にかかる負担が大きくなります。身体が急激に太ることは滅多にありません。
たいていの場合、食べたものに応じて徐々に太っていきます。そのため体が重くなっていることに気づかず、いつもと変わらない仕方で体を動かしていたら突然、膝や腰に激痛が走ったという状況が生じてしまうのです。
その一方で極端なダイエットもロコモティブシンドロームを招きかねません。食べる量を大幅に減らすことで身体を細くできます。しかしこのような方法でのダイエットは栄養不足が原因で身体が細くなっているに過ぎません。そのため骨や筋肉が極端に減少し、動器の機能が低下します。
もちろんこのような状態に至るだけでも十分危険ですが、骨や筋肉が弱くなった場合はちょっとした衝撃で大怪我に至ることもあります。特に骨折や関節の怪我などはロコモティブシンドロームを生じさせることがあるために、極端なダイエットや栄養不足による痩せ過ぎには要注意です。
筋肉の強化
ロコモティブシンドロームを予防するためには、常に「立つ、歩く」の動作を自分で行うよう努めるべきです。大きな怪我などの理由でこれらの動作を長期間行えなくなる人がいますが、回復後すぐに自分の力で立ち、歩くことはたとえ若者であっても容易ではありません。なぜなら長期間これらの動作を行わないと筋肉が弱ってしまうからです。
当然のことながらロコモティブシンドロームを予防するためには立ち上がって歩くときに使用する筋肉を鍛える必要があります。先にも述べたように、これらの動作を普段から行っていれば自然と必要な筋肉は鍛えられていきます。そして筋肉を構成するために必要な栄養素を摂取していれば、ロコモティブシンドロームを効率的に予防することができます。
まず筋肉を作るためにはタンパク質の摂取が必須です。できるならば動物性のものと植物性のものをバランスよく摂取するようにします。またビタミンB6は筋肉の生成を促す栄養素です。そのためビタミンB6をタンパク質と一緒に摂取するように心がけます。タンパク質は肉類や魚、
そして大豆食品などに多く含まれています。またビタミンB6はニンニク、豚肉やレバー、そしてマグロなどに多く含まれています。また意外なことかもしれませんが、筋肉を強化するためには適量の炭水化物と脂質も必要です。そのためご飯を食べないとか、脂質を全く取らないような極端な食生活は避けるべきです。
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規則正しい食生活が難しいと感じたら?
上記で取上げたことを納得できても、忙しい生活を送っているがゆえに必要な栄養素を摂取できるような食事生活は困難であると感じる人もいます。しかしちょっとした工夫を加えることで必要な栄養補給が可能となることもあります。
たとえば忙しい朝に食事を取ることなどできないと感じる人がいます。このような場合、食パンをかじって牛乳を飲むだけでもロコモティブシンドロームを予防するために必要な栄養素のうちの二つを摂取することができます。食パンは軟らかく、簡単に食べることができますし、牛乳も飲むだけでカルシウムを摂取できます。ロコモティブシンドロームを予防するために必要な栄養素を一度の食事から摂取することを考えると、献立のチョイスに悩んでしまいます。
しかし朝食の時点で必要な栄養素の二つをすでに摂取しているわけですから、残りの栄養素は昼食、そして夕食に分散して摂取すればいいわけです。このようなことを考えると、朝食として食べやすいものをチョイスし、それらから必要な栄養素を摂取しておくことが非常に大切であることが理解できます。
また必要な栄養素を食事から摂取することが難しいと感じた場合、ブレイクタイムに一工夫加えることによってそれらの栄養素を補うこともできます。たとえばコーヒーブレイクのときに牛乳を使用したドリンクで一息ついたり、大豆や小魚が含まれているお菓子を食べることができます。
ロコモティブシンドロームは年齢を重ねるごとに危険度が増していきます。しかし若い頃に比べると食欲は徐々に減っていくために、食欲が湧かない故に必要な栄養素の摂取が難しいと感じる人も少なくありません。このような状況では、食事が楽しいと感じられる環境を作ることがポイントとなります。友人や家族と食事をするように心がけたり、バランスを考えつつも自分の好きなメニューを定期的に取り入れた食事を取るようにします。そうすることで食事が楽しいと感じられるようになり、食欲が湧いてきます。
もちろん、必要な栄養素を摂取していればロコモティブシンドロームを確実に予防できるというわけではありません。適度な運動や休息を取ることも重要です。しかし食事から摂取する栄養素はロコモティブシンドロームを予防するための基礎であり、これができていなければ丈夫な筋肉や骨を形成することはできません。
それでまずは上記で取上げた栄養素をバランスよく摂取するように心がけましょう。「食事のための十分な時間が取れない、食べることがあまり好きではない」といった人は生活環境に合わせた工夫を加えることで、必要な栄養素を摂取することが可能となりますので、この点を再吟味してみることができます。